メガデス キコ・ロウレイロ(ルーレイロ)のインタビュー翻訳

この記事は、ブラジルの情報サイト、UOL”に2月3日に掲載されたアングラ、メガデス Megadethのギタリスト、キコ・ロウレイロ(ルーレイロ) Kiko Loureiroのインタビューの翻訳です。

 

原文: 

Inseri meu estilo no Megadeth "enchendo o saco", diz Kiko Loureiro - Últimas Notícias - UOL Música

 

内容は、メガデス加入から新作「ディストピアDystopia”」録音時の内輪話などです。一般情報サイトによる電話インタビューなので、大変短いものであり、内容的にもコアなメガデス・ファンには取るに足るものではないかもしれませんが、キコ・ロウレイロがポルトガル語で話しているものなので、日本のB誌などで読めるインタビューとはひと味違う、リラックスした、より彼の人柄が開放的に表れたインタビューになっているんじゃないかと思います。どうぞ、読んで楽しんでいただけたら幸いです。

 

キコ・ロウレイロ曰く、「メガデスでは、メンバーの顰蹙を買うことで、オレの流儀を持ち込んだのさ」

 

 メガデスのニューアルバムでの、複雑なリフとギターソロの担当者、ブラジル人ギタリスト、キコ・ロウレイロは「お節介をやいて、顰蹙を買う」のが好きなんだとのこと。「レコーディングのスタジオにピアノがあったんだよ。で、みんなが演奏をやめて、コーヒーブレイクにしているときにさ、オレはピアノに座って、レコーディング中の曲のフレーズなんかを弾いたりしてね。みんなの顰蹙を買うのさ」。ニューアルバムの作曲中の様子を、キコはこのように話している。今回のアルバムは、キコがメガデスに参加した最初の作品。そして、そのニューアルバムを引っ提げて、メガデスは8月にブラジルにやって来る予定だ。

 

 このピアノによる、半ば人類学的考察による結論は、アルバムのPoisonous Shadows”という曲の終わりの部分で聞くことができる。この曲は、キコが、デイヴ・ムステインと共に作曲にクレジットされている、3曲あるうちの1曲である。その作曲した曲の数では、すでに前任者のギタリストである、クリス・ブローデリックを上回る。「いや、ピアノを上手に弾けるわけじゃないんだけどさ。でも、曲のフレーズをピアノや、あるいはガット・ギターで弾くことで、作曲のいろいろな可能性を考えるのもあるんだけど、それだけじゃなく、その場を音楽に満たされた、創造性豊かな雰囲気にしたかったんだよ」

 

 アングラのギタリストである彼のこうした配慮は、新しいバンドのメンバーとして適応するために、そして、アルバムの音楽性を作り上げるために、とても重要だった。こうして出来上がったニューアルバムは、各方面の批評家に賞賛を持って迎えられている。1月22日に発売されると、いきなりビルボードのアルバム・チャート3位にランクイン。メガデスのバンドの歴史でも2番目に高い順位である。「でも、メディアの書く音楽評については、オレはあまり気にしていないんだ。それよりもファンがどう思ってくれたかが重要なんだよね。バンドの歴史とともにあって、音楽をずっと聞き続けてくれているファンの意見が大事なんだ。スラッシュメタルをよく理解してるからね」

 

 ディストピア・ワールド・ツアーの忙しい合間に、キコは、アメリカから電話で応対してくれた。メガデスに加入した、この10か月間の様子、バンドに慣れるための苦労、ビジネスマンとしてのデイヴ・ムステインから多くを学んでいること、などを話してくれた。「彼(デイヴ)は実にプロフェッショナルだね。いつも電話で人と話している。あるいは、メールで質問に答えたり、スタッフと話したりしている。こういうのは、とてもいい授業だよ」。共和国的理想を分かち合う、新しい上司について、彼はこう評する。「彼(デイヴ)はいつもニュースの記事を読んでいるよ。それから、それについて議論するんだ。でも、自論を押しつけるわけじゃないよ。それから、敬虔深いところがあるね。ステージに上がる前は、いつもメンバーやスタッフとお祈りをするんだ」

 

インタビュー本文

 

UOL: メガデスの一員になって、調子はどうですか?

 

キコ・ロウレイロ: とてもすばらしいね。バンドでうまくやっていこうとしながら、とても多くのことを学んでいるよ。時々、水から外に出された魚みたいに、慣れた環境とは違うんだということを思い知らされるけど。まあ、何もかもが新しい環境だからね。離婚した後に、他の人と新しく結婚したようなものだよ。で、外国語を話すというのもあるし。デイヴ・ムステインやデイヴィッド・エルフソンはアメリカ人だからね、文化がまず違うし、年齢もまた違う。でも、適応するための苦労よりも、楽しいことのほうがはるかに多いんだ。こっちはファンとして見てきた、歴史の生き証人たちと一緒にいるんだからね。彼らはまさしく偉大な歴史の瞬間に立ち会ってきた人たちなわけで。「フォレスト・ガンプ」みたいなものだよ。

音楽的にはとてもいい感じだ。バンドの中に入って、その中からプロフェッショナルの仕事を見るのは違うね。きちんと組織立っていて、方法がしっかり確立されてる、プロフェッショナルの仕事を見るのは、とても良いことだよ。

 

UOL: ツアーに参加してからすでに6か月経って、アジアや北米、オセアニアなどをサーキットして回ったわけですが、何が一番印象に残りましたか?

 

キコ・ロウレイロ: とにかく、最初のライヴ。7月。カナダのケベックでのことだよね。一回限りの公演だったんだけど。現地のフェスティバルに参加することになったんだ。6月から7月にレコーディングをして、その後すぐにアングラのツアーに参加したんだ。で、メガデスのライヴでも演奏するということを聞いて、気違いみたいなスケジュールで旅行したよ。で、メガデスの昔の曲もおさらいしなきゃならないし。その時まで、新作の曲しか覚えてなかったから。いや、とんでもない状況になったなと思ってさ。それから、リハーサルを3日間やって。でも、メンバーみんなが、まだ不慣れなときだったからね。そんなにたくさんの曲は演奏しなかったんだ。まあ、機材とメンバーの調子を見た感じだね。ムステインとエルフソンはいつもの調子でやってるからいいんだけど、オレとクリス(アドラー、元ラム・オヴ・ゴッド、新入りのドラマー)にとっては、大変な挑戦だったんだ。おまけに大雨でさ。ギターは濡れるし。ステージの床は滑るし。それをカナダのテレビが全部録画しててね。「こいつらがちゃんと演奏できるかどうか、みんなで見てやろうじゃないか」てな具合だったよ。

 

UOL: メガデスの昔の曲をマスターするのにどのくらいの期間をかけたんですか?

 

キコ・ロウレイロ: アングラのツアーの時から、空港での待ち時間とか、暇があれば、曲を聴いていたんだ。それから、アメリカにあるオレの自宅に行って、練習に使える時間が10日間あったんだ。だけど、家にはまだ小さい娘がいてさ。3か月くらい会ってなかったんだ。もう中国の曲芸師みたいになっちゃってさ(笑)。Holy Wars”を家の娘と一緒に演奏している動画とかアップしたりして。怪物的に偉大な曲を弾かなきゃならないんだからさ。それが、怪物的に偉大な音楽を演奏して娘が遊んでてくれるようにするための唯一の方法なんだ(笑)

 

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UOL: デイヴ・ムステインは政治的志向の強い人として有名で、一緒に仕事をするのが大変難しい人だといわれていますが、彼の日常はどんな感じでしょうか? そんなに政治的なのでしょうか?

 

キコ・ロウレイロ: 確かに、彼は政治的意識が強いよね。いつもニュース番組を見たり、記事を読んだりしているよ。

それから、意見を述べる。時々、ホテルの彼の部屋に行くことがあって、ギターの演奏の打ち合わせをするんだけど、彼はよくCNNを見てるね。彼は、メディアの言う意見について議論するのが好きでね。例えば、Fox Newsは好きじゃないそうだよ。例えば、あまりに右翼的だったりとか、あまりに左翼的だったりとか。まあ、いろいろ詳細な内容があるんだけど。あのパリでテロがあった翌日に、オレたちはロンドンのウェンブリーで公演があったんだけど、その時は、控室のテレビが全部つけっ放しになっていて、ずっと見ていたよ。彼は議論するのが好きだけど、自論を押しつけたりするわけじゃないんだ。それから、彼はとても敬虔深いところがある。ステージに上がる前は、いつもバンドのメンバーとお祈りをするんだ。あの集中力を高めてる時にね。みんなの気を落ち着かせるために。いつもThank you, God, Amen”てね。

 

UOL: ニューアルバムは大変好評でした。あなた自身の業績となるようなものは残せましたか?

 

キコ・ロウレイロ: まず第一にギターソロだね。まあ、ギターソロがどの程度重要性があるのかはよくわからないけどさ(笑) でも、どれも個性のはっきり出たソロになったんじゃないかな。あとは、作曲面でもちょっとアイディアを出してる。Conquer or Die”っていうインストゥルメンタルの曲があるけど、あれは長いギターソロがあるよね。ナイロン弦のガット・ギターも弾いてるんだ。いい感じになるし、多分オレの個性がよく表れると思ってね。ブラジル音楽の要素も取り入れられると思うし。

 

UOL: デイヴ・ムステインは、あなたとスタジオにいると、プレッシャーを感じると言っていました。いい意味でね。というのは、あなたがすばらしい音楽家だからだそうで。彼からそういわれるなら、大変な賞賛ですよね?

 

キコ・ロウレイロ: 確かにそうだよね。オレは、何かと他人のお節介をやいて、顰蹙を買うのが好きでね。いや、ホント、お節介なことをやるんだ。いつもギターを抱えて、やたらに弾いて見せたり。 レコーディングのスタジオにピアノがあったんだよ。で、みんなが演奏をやめて、コーヒーブレイクにしているときにさ、オレはピアノに座って、レコーディング中の曲のフレーズなんかを弾いたりしてね。いや、ピアノを上手に弾けるわけじゃないんだけどさ。でも、曲のフレーズをピアノや、あるいはガット・ギターで弾くことで、作曲のいろいろな可能性を考えるのもあるんだけど、それだけじゃなく、その場を音楽に満たされた、創造性豊かな雰囲気にしたかったんだよ。いつもアイディアを出そうとしてたんだ。それで、少しずつ、オレなりの意見の出し方みたいなものを見つけていったんだ。そういう意味では、うまくいったと思うよ。オレが何かアイディアを出すと、「なあ、それ、悪くないな」とか言ったり、ある時は「ああ、ダメだ、それはメガデスに合わないぜ」とか言ったりね。オレがあるアイディアを出せば、他の人が他のアイディアを出す。で、第3の形になっていったり。いつもそんな感じだったよね。チームワークで仕事するってことは、こういうものだと思うな。

 

UOL: いつ頃、メガデスはブラジルに来る予定ですか?

 

キコ・ロウレイロ: 8月だね。まだ詳細な日程はわからないけど。まだ全日程がはっきりしているわけじゃないんだ。ブラジルのどこの都市を回るかは、おそらくいつも通りの大都市を回るんだと思うけど。それから、他のラテン・アメリカの国にも行く予定だよ。7月には詳細が決まって、公表されると思う。ブラジルで演奏するのはとても楽しみだよ。メガデスのメンバーやクルーに、ブラジルという国や素敵な場所や、いろいろな文化を見せてあげたいものだね。今からとても楽しみなんだ。

 

以上